脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症とは

70歳以降の7割程度が発症しているといわれています。腰椎に発症しやすい傾向がありますが、頸椎や胸椎にも生じることがあります。脊柱管は、脊髄が通れるトンネルのようなつくりで脊椎の後方に存在しています。脊柱管が狭くなって、神経が圧迫されてしまうと力が入らなくなったり、痛みやしびれ、麻痺などを生じやすいです。

原因

高齢者に発症しやすい傾向がありますが、先天性脊柱管狭窄症や腰椎圧迫骨折などのケガや背骨の病気が、発症に関係していると考えられています。脊柱管は、脊髄が通れるトンネルのようなつくりをしていて、椎間板や背骨、関節、黄色靱帯などで覆われています。椎間の関節や背骨から飛び出た骨が原因で発症するケースもあります。また、背中に負担がかかる仕事や加齢、何らかの病気によって、椎間板が膨らんだり背骨が変形して、黄色靱帯が厚みを帯びることで、脊柱管が狭くなります。神経が圧迫されてしまうため、血液循環が悪くなって発症するといわれています。

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症状

腰痛や足の痛み、しびれを生じることで歩きにくくなりますが、前かがみの体勢やしゃがむことで再び歩けるようになります。このような状態を間歇性跛行と言います。間歇性跛行は、脊柱管狭窄症の診断を行ううえで重要なポイントになります。進行すると腰痛や両足の麻痺、肛門付近のしびれ、尿もれ、尿の排出困難などを生じやすいです。なお、腰椎椎間板ヘルニアと比べて、激しい腰痛を生じにくいといわれています。

診断方法・検査方法

レントゲン検査やCT検査、MRI検査、レントゲンを用いた脊髄造影検査などを行います。MRI検査は、脊柱管や脊髄の状態を詳しく撮影できたり、腰椎椎間板ヘルニアを確定診断するときに最も有効な検査といわれています。また、脊髄造影検査は、脊柱管が狭くなっている度合いを確認できるため、脊柱管狭窄症を診断するときに役立ちます。当院では、MRI検査も脊髄造影検査にも対応していますので、お気軽にお問い合わせください。

MRI検査

治療方法

保存的療法で効果を期待できないときは、手術を検討していきます。腰椎椎間板ヘルニアと比較すると、保存的療法のほうが治療効果を得られにくいといわれていますが、自然に治るケースもあります。

保存的療法

安静にして過ごすことが大切ですが、他にもコルセットを装着したり、杖やシルバーカーを用いることも有効といわれています。自然に前かがみの体勢をつくり出せるため、症状を軽減できます。また、温熱療法やストレッチも効果を期待できます。なお、痛みの度合いが強いときは、鎮痛剤や湿布を処方させていただきます。

内服による治療

末梢血管を拡張させて、神経の血液循環を促進させるリマプロストや、痛みを緩和させる鎮痛剤、過剰に興奮している神経を落ち着かせる働きのあるオピオイドやプレガバリンなどを処方させていただきます。

神経ブロック

保存的療法で症状が改善されない場合は、神経根ブロックや硬膜外ブロックを行います。

神経根ブロック

局所麻酔薬を痛みの発生している箇所に注入していきます。

硬膜外ブロック

脊柱管と呼ばれる神経が通る骨の穴に、長い針を入れていきます。腰部硬膜外ブロックは、腰から注入しますが、仙骨裂孔ブロックはお尻から注入していきます。使用する薬は、ステロイド薬や局所麻酔薬です。腰痛と足の痛みが軽減される可能性があります。ただし、注入した後は、下半身の力が抜けやすいため、30分程度休憩してから帰宅しましょう。

手術療法

両足の麻痺や肛門付近にしびれを生じたり、椎間板ヘルニアが原因で足が筋力低下したり、保存的療法やブロック注射で症状が改善されない場合は、手術を検討していきます。ただし、尿もれや尿が出にくい、便が出にくいなどの症状を生じている場合は、早急に手術が必要です。

手術法

全身麻酔手術により、脊髄を圧迫している箇所を取り除いていきます。黄色靭帯を取り除くことで、神経根や馬尾の圧迫が改善される可能性があります。また、金属を埋め込む固定術で、椎体の安定性を確保することできます。