側弯症

側弯症とは

背骨が横方向に曲がりくねっている状態です。はっきりとした原因は分かっていませんが、脳性麻痺や筋ジストロフィーなどと関係があるといわれています。思春期に発症しやすい傾向があります。成長とともに、胸郭が肺に圧迫されることで呼吸困難を起こしやすいです。患者様の状態に合わせて、適切な治療をご提案させていただきます。体を動かしにくい場合は、装具を用いたり、手術を行います。

症状

進行すると日常生活に支障が出てしまうことがあります。下記の症状は、真っ直ぐ立っているときでも生じやすい症状になります。

  • 肩の位置が左右で異なっている
  • 片側の肩甲骨が飛び出ているようにみえる
  • 腰の位置が異なっている
  • 前かがみの体勢のときに、片側の背中が盛り上がっているような感じがある、片側の胸郭が前に飛び出ている

日本では、小中学生を対象にした検診に、側弯症の項目があります。そのため、検診により発見されるケースもあります。側弯症は、脊柱が左右に曲がったり、回転したり、ねじれを生じることがあるため、筋肉や肋骨が反対側にあるものよりも飛び出ているようにみえます。片側に体が傾くことが多く、日常生活や運動を行うときに支障が出ることもあります。さらに、胸郭が肺に圧迫されてしまうと呼吸困難を起こしやすいです。放置すると、長期にわたり背中の痛みが持続されることがあるため、速やかに当院を受診しましょう。

  • 日常生活や運動を行うときに支障が出てしまう
  • 長期にわたり背中の痛みが持続される

原因

側弯症の中では、特発性側弯症の発症率が最も多いといわれています。はっきりとした原因は分かっていませんが、家族歴のある方が発症されていることから、遺伝的要因が考えられます。また、先天性異常や脳性麻痺、筋ジストロフィー、乳児期の胸壁の手術経験が側弯症の発症に関係していると考えられています。下記の項目は、特発性側弯症のリスク要因です。

リスク要因

  • 年齢:思春期に発症することが多い傾向があります
  • 性別:男児より女児に発症率が高く、症状が悪化しやすい傾向があります
  • 家族歴:患者様の中には家族歴がない方もいらっしゃいますが、一般的には家族に遺伝する可能性があります

診断方法

診察時には、お子様の最近の様子や、これまでかかったことがある病気についてお尋ねします。しびれや筋力低下、反射に異常がないかを確認させていただきます。さらに、胸郭が左右対称かを確認するために、立った状態で左右の腕を垂らして、前かがみの体勢をとってもらいます。

レントゲン検査・MRI検査

レントゲン検査は、脊柱の曲がり度合いを確認することができるため、確定診断のときに有効といわれています。デメリットは、脊柱の曲がり度合いを継続して観察する必要があるため、その都度、放射線被ばくすることがあげられます。MRI検査は、脊髄の異常があるかを調べることができます。

治療方法

脊柱の曲がり度合いが軽度の場合は、治療を行う必要がありません。ただし、成長とともに曲がり度合いがひどくなる可能性があるため、経過観察を行います。中等度もしくは重度の場合は、性別やお子様の発達状況、脊柱の曲がり度合いを確認しながら、手術や装具を用います。なお、骨の発達状況は、レントゲン検査で手を調べることにより確認できます。骨の成長とともに脊柱が曲がりやすい傾向があるため、骨が成長しているときに、装具を着用されることを推奨しています。また、男児よりも女児のほうが進行しやすい傾向があります。曲がり度合いがひどい場合は、徐々に悪化することもあるため、注意しておきましょう。

 装具の着用

中等度の側弯症の治療に装具を用いることが多いです。骨の成長とともに脊柱が曲がりやすい傾向があるため、骨が成長しているときに、装具をつけることが有効といわれています。ただし、装具をつけたからといって、完治するわけではありません。治療終了となるのは、骨の成長がとまったときで、男児は16歳頃、女児は14歳頃を目安にしましょう。装具のつくりはプラスチック製で、胸郭や腕の下、腰付近に沿うような形をしているため、衣服を着ていただくとほとんど分かりません。また、装具をつける時間が長いほど、効果を期待できます。1日13時間から16時間程度、装具をつけられることを推奨しています。日常生活に支障が出ることは少ないですが、運動やスポーツをされるときは、一時的に装具を外していただいても構いません。

手術療法

重度の側弯症の場合、手術を行うことがあります。骨の成長とともに脊柱が曲がりやすい傾向があるため、骨が成長しているときに手術を行います。骨と骨の間に、骨片や骨に似ている材質を入れて、椎骨を2つ以上つなぎ合わせて固定する方法で、脊椎固定術といわれています。また、急激に進行している場合は、背骨に沿わせるように、1~2本程度のロッドを入れていきます。数ヶ月おきに手術を行うことで、ロッドの長さをコントロールすることができます。なお、手術の合併症としては、感染症や神経へのダメージ、出血などがあります。